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ぼくは勉強ができない / 山田詠美 (文春文庫)
わたしは勉強ができない高校生だったので、この本のタイトルはよく覚えている。「こんなとっつきやすいタイトルをつけたって本は読まないからな」
おすすめの1冊などの出版社の小冊子に必ず入るこの小説。必携の1冊。わたしは中身を知らない。本を扱う仕事をする身としていかがなものか、と手にした。
ついに、時田秀美に出会ってしまったのだ。
 
空気は秋でも、影は夏。そういうことに気付くと、ぼくは桃子さんに伝えたくてたまらなくなるのだ。
引用:『ぼくは勉強ができない』(p.70)

勉強ができない高校生時田秀美は年上女性の桃子さんと付き合っている。すでにセックスも終えている。男子高校生としてはかなりの勝ち組である。同じクラスの女子にももてる。
「女にもてないという事実の前には、どんなごたいそうな台詞も色あせるように思う」と語ってしまうほどのもてっぷりである。なんだよこいつ、と思うのだが、季節の変わり目などを、年上の彼女(バーで働いている)に嬉々として伝えてしまう飾らない時田くん。なんだ、ただのイケメンか。
わたしは季節の変わり目がわかる男子が好きなのである。『ストロボエッジ』(咲坂伊緒)の蓮くん然り。

時田くんにはお父さんがいない。「だから、駄目なんだ」とレッテルをはられるのをひどく嫌う。そして、「先入観で物事を判断する」という大人の姿勢すべてに反発する。
それが1話ではかっこよく描かれていたのだが(小学生の委員長選挙のお話)、高校生活も終盤になると鬱陶しい思想のように感じられ(山野舞子さんのビンタ事件)、大人になるってそういう経験の積み重ねだよなあと思うのだった。
この本を高校生の頃に読んでいたら、きっと時田くんに夢中だっただろうし、それから色々なことがあるたびに、繰り返し読んだ小説だったのだろうなあと振り返ると、おとなしく高校生の頃に読んでおくべきだった。
きっとアルバイトで理不尽な客に遭った時とか、仕事ばっかりしててふと冷静になってしまった日の夜とか、「ああついにわたしは桃子さんにもなれず、時田くんのような男の子にも出会うわけがなかった」と知った日などに読んだのだろうなあ。

関係ないけれど、わたしは本書を読みながら、『坊ちゃん』を思い出した。
坊ちゃんの話自体は漠然としか覚えていないので類似点を挙げられないのだけど、「爽快感とイライラ感のミックス加減が坊ちゃんを読んでいる時に似ている、だがしかし時田秀美はイケメン」と思いつつ、夜中のキッチンに座り込んで読んだのだった。


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(文春文庫は解説が綿矢りささんです!それが目当てで読みました。)
 
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