書評・感想ブログ。
読書関連のコメント、トラックバック、相互リンクは大歓迎です。
<< May 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

<< 小3までに育てたい算数脳 / 高濱 正伸 (健康ジャーナル社) | main | 小学校入学前にことばの力をつける魔法の本棚 / 中島克治 (小学館) >>
ごはんぐるり / 西加奈子 (NHK出版)
 「イラン生まれ、エジプト育ち」という西加奈子さんのプロフィールを見るたびに、「この人、おもしろいこと書くんだろうな」と勝手な想像を膨らませる。西さんもさぞかし迷惑だろう。(関西人は面白いことを言うに違いないという先入観と同じな上、西さんは大阪育ちでもある!)
 本書は「食べ物」に関するエッセイである。「エジプト育ち」の西さんはきっとトンデモエピソードをたくさん持っているにちがいない!とこれまた勝手に期待を膨らますのだった。(西さんといえば、エッセイ「ミッキーかしまし」のイメージでお酒のイメージが強い)。

「不自由さ」というのが、思いがけない幸せをもたらしてくれるものである。


(p.15)
 序盤は期待通り、西さんが幼少期を過ごしたエジプト・カイロでの食生活が描かれている。
 「生野菜、生水には気をつけろ」「カイロの米は石や虫をとってから食べる」「断水・停電は当たり前」という今の日本では考えられない食事情である。ありきたりな感想だが、今の自分がいかに恵まれているかを思い知らされ、反省をする。冷蔵庫の中で林檎を腐らせてしまってごめんなさい。
 時々思うことがある。
 人間は不自由な時に頭を使って考える。それが積み重なって、今の生活があるわけだけれど、パソコンが一家に一台が当たり前の時代に生まれた私は便利生活への後加入感が否めない。生活をもっと便利にしよう!といった発想が不必要なほどに、便利な生活を送っている。
 「寝ちゃいそうだから、電気消してよ」
 リモコン式ではないその電気を消すために、交わさなくていいであろう会話を夫としたその時に、便利すぎないことも大切だなと思うのだった。お風呂のお湯を沸かすときもそうである。つい数年前まで、お風呂の湯温や湯量は自動ではなく、手で触って確かめてから湯船に湯を張っていたはずだ。しかし、その作業がなくなった今、「今日熱いよ」「お湯入れすぎだよ」といった会話が我が家からはなくなった。
 「不自由さ」がなくなった反面、会話がなくなってしまった気がする。

自分の心地良いことを、貫くということ、それがお洒落


(p.121)
 本書の終盤では、西さんは海外の料理(それもセネガルやベネズエラなど馴染みの少ない料理)を習いに行く。その一環で、フィンランド料理を学びに行くのだが、フィンランドでは「お洒落」を指す言葉はないということを知った。日本ではお洒落の代名詞のような扱いなのに……。自分がいいと思ったものに自信をもち、他人に左右されず、自分自身のお洒落を貫いているというその生き方が「やっぱりお洒落やん!」なのだけれど。
 そんな風に生きていけたらいいなと思う。
 やはり、西さんは海外へのフットワークがとても軽い。「それも取り入れちゃう?」というくらい雑多な感じ、でも「西加奈子」というひとつの枠組みからは飛び出していなくて、ごちゃ混ぜの中でも統一され凝縮されていて、なかなか濃厚な一冊であった。

 オーダーの正解、得意料理の正解はわたしも今日までわからずにいる。
 というか、そもそもそれに気がついてしまうのが、日本人なのではないだろうか。

(楽天ブックス)ごはんぐるり
(アマゾン)ごはんぐるり
ネットオフ 1,500円以上お買上げで送料無料!

スポンサーサイト
COMMENT









Trackback URL
トラックバック機能は終了しました。
TRACKBACK