書評・感想ブログ。
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王様は裸だと言った子供はその後どうなったか / 森達也 (集英社新書)
 「童話や民話をドキュメンタリー作家森達也がパロディ化した現代日本論」とのことである。
15話の童話民話(といいつつも仮面ライダーなどもある)を広げ、現代日本論といわれるとどんなものかよくわからないが、エッセイのようなものが繰り広げられている。
なんだかよく森達也著作を手にしている気がするのは「オウムの人」っていうイメージがあるからだと思う。
読んでみたら、まったくそんな気難しさはないのだけれど。
そして最近、本を読む際に気にかけるのが、「震災前の出版か否か」ということである。
書かれることに大差はないのかもしれない。だが、何かは違っているはずだ。何かとは明確には表現できないのだけれど。
(ちなみにこの本は2007年に出版されている。)


 

「自分だけが秘密を知っているという事実は、自分だけが共同体から逸脱しかけていることと同義なのだ。」


(第五話「ミダス王」より)
ミダス王という童話を知らなかったのだが、ロバの耳を持つ王様の話らしい。それは知っている。
さて、わたしだけが王様の耳がロバの耳だと知っていたらどうするだろうか。確かに、知ってしまった数日は怯えるだろう。だが、数ヶ月経ったら、王様の弱みを握っているという優越感にひたるのではないか、と思っている。
現在だったら、ツイッターで拡散されてしまうんだろうな。呟いたアカウントは削除され、ロバの耳を持つ王様だけが晒しあげられるのだ。

 

「不安や恐怖は、何で生まれるか知っているかい? (中略) 知らないからだよ」


(第十三話「ねこのすず」より)
最近、スマホに機種変更した母はLINEを恐れている。LINEにしたら便利なのだろうけど、犯罪に巻き込まれると思い込んでいる。
もっと言えば、「スマホに変えたら、利用料金が莫大にかかるのでは」とも心配していた。すべて、よく知らないからである。
50代の母でさえそうなのだから、80代の祖父母はインターネットそのものに怯えている。よく知らないから。
だがしかし、今のこの世はわかりやすくなんか説明してくれない。騙せなくなるから。
ややこしい日本語でかかれた利用規約を熟読しなければならない。やっと理解した頃には、新しいサービスが普及している。
ですから、国語力と危機管理能力は大切な力だよ、とわたしは思うのだけれど、世間は英語化している。
英語化しているから、さらにややこしい日本語で煙に巻かれている気がする。
そんなことをもやもやと考え込んでしまう説教臭い章であった。
ソクラテスの「無知の知」というのをふっと思い出し、「あのおじさん、きっと現代でも生きていけるわ」と感心した。
(ちなみに、この概念は本書の終盤で頻出し、戦争について語られたりする。)

(p.253)

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森達也 『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』(光文社新書)、読了。 タイトルだけ見て買って来ました。 昔話を題材に、「その後・・・」や「実は・・・」を創作した本。 軽いタッチの表現に、皮肉たっぷりの創作昔話となっているため、 面白おかし
『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』 | 観・読・聴・験 備忘録 | 2014/08/09 17:22