書評・感想ブログ。
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ぼくが愛したゴウスト / 打海文三 (中央公論新社)
(ネタバレします。)



「これはおもしろい!」と思った小説や物語に出会ったとき、人はどうするんだろう。
わたしは眠れなくなった。数日間、物語に思いを巡らせた。その全てを言葉にしてブログやノートに書き留めておこうと思っていたのに、ついうっかり忙しくて忘れてしまった。とても勿体無い気持ちでいっぱいだ。


11歳のぼく(翔太)がひょんなことからパラレルワールドへトリップしてしまい、同じくトリップをした青年と自己について、存在について討論を交わして物語は進む。
自分と全く同じ形をした人間で記憶も生活形態もなにもかもが同じであるのに、尻尾が生えているという部分でだけ異なったパラレルワールド。尻尾は裸にならないと確認できない。
よく考えると、現実にありそうで怖いのだ。
もしかしたら、同じように皆には尻尾が生えているかもしれないし、わたしだけ血が赤いのかもしれない。確認したくても、そう簡単には確認できない。自分中心に考えてしまうのは人間当たり前のことだけれど、「自分だけが違う」というのは文字で見る以上に恐ろしい。
序盤の逃走劇にハラハラし、流れるように読み進めてしまう。


中でも、今日まで一緒だった家族が「尻尾の有無」によって、見た目がまったく同じでもやはり「違う人間」と翔太のことを切り離してしまうシーンがいちばん恐ろしく、そして悲しかった。
本当の母にそっくりなもう1人の母と翔太のやり取りはとても心が苦しかった。愛せないわけがないと思う。だけど、愛しすぎているからこそ、愛せないのだろう。キャッチボールのシーンが印象的で、でもすぐに壊れてしまうであろう関係が目に見えてさらに切なくなった。


作者は意地悪で、「こうならないといいな」と思っている方にどんどん話が流れていってしまうので、ページを繰る手が止まらない。
終盤、「ぼくがの脳が見ている幻影」とこれまでのすべてを翔太は受け入れるが、なにも結論されないまま、11歳のぼくの脳が見るとは思えない情景の描写で話が終わる。
「幻影」と否定されたあぐりはどんな気持ちで翔太とセックスをするのか。幻影でないと伝えたい思いでいっぱいなんじゃないだろうか。それはやはり愛なんじゃないだろうか。
それなのに、タイトルは「ぼくが愛したゴウスト」である。なんだかやりきれない。


哲学には詳しくないけれど、こういうお話を読むと、倫理の時間に学んだデカルトの思想を思い出す。
自分がななめ上から自分を見下ろしているような感覚で生きていることが、翔太の言う「脳が見ている幻影」であるとするなら、今生きているわたしも幻影である。
そうであっても、そうでなくても、感情は言葉で出力される。
言葉で何かが表現されているうちは、そこに存在できているのではないか、と思って少しだけ安心するので、わたしは記録魔なのかもしれない。


伊坂幸太郎が「3652」でやたら紹介していたので読んでみたが、読んでよかった。


(264p)





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