書評・感想ブログ。
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名前探しの放課後 / 辻村 深月 (講談社)

最近、涙もろくて困る。
今まで、わたしが言う「泣いた」は、目の端が涙で潤みそうな状況を語っていたけれど、
今は違う。
涙が目の端にたまって、垂れそうな瞬間を「泣いた」と言う。

そして、この話は、「泣けた」。

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依田いつかは、3ヶ月という微妙な期間をタイムスリップしてしまった。
いつかは、3ヶ月先の未来を知っている。
同じ学年の「誰か」が「自殺する」ということを知っている。
しかし、「誰か」が思い出せない。

SF小説に詳しいクラスメイト、坂崎あすなとの
「自殺者の名前探し」の放課後が、始まった。

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わたしは、小説に出てくる、地味女子が大好きです。
教室でひとりで本を読んでいる、地味女子。
思ったことを上手く発言できない自分にイライラする、地味女子。
素直で、真っ直ぐで、純粋な、地味女子。
自分と重なるからかもしれないんだけど、
わたしは、いじめられるのが嫌で、地味にも徹底できなかった中途半端女子でした。

この小説に出てきた、SF小説、とりわけタイムスリップに詳しい坂崎あすなも地味女子。
彼女は、ぬきんでた長身の持ち主なのに、運動神経が鈍い。
そんな彼女が、自殺予定者を救おうと、水泳にいそしむ。
ちょっと涙が出そう。(単純。)

タイムスリップをした依田いつか。
「女にだらしない」「ちゃらい」「生き方がデキトー」という、
実際にいたらまず、関わらないだろうな、というタイプの男子です。
そんな彼が、真顔になって、「自殺を止めたい」という。
そして、さらにぎこちない真顔で「タイムスリップをしているみたいだ」という。
その妙なギャップが楽しい。
そして、後半の後半、熱くなってゆく依田いつかから、目が離せませんでした。

そして、自殺者じゃないか、と疑われる、河野基。
こいつがいちばん、人間くさくてわたしは好きだった!
河野が咆哮するシーン、やり返すシーンで、ちょっとじわっときた。
いじめって、文章で読むのも、嫌だな、と思った。

そして、「自殺者の名前探し」という殺伐とした雰囲気からは察せないほど、
青春グラフィティ!でした。
女子校のわたしが想像する「青春」そのものでした。
若人たちが、「ひとつの目標」に向けて、進んでゆくのって、気持ちがいい!


辻村さんの作品は3作品めなのですが、
このお話は、「ぼくのメジャースプーン」を読むことで、さらに楽しいようです。
読んでなくても、楽しかったけど。
ちょっと悔しいが、仕方ない。
辻村さんの作品にでてくる人物たちは、
ちょっとずつみんなに「悩み」があって、卑屈な感じがあって、好きです。
隠している過去や、乗り越えてきた過去があって、好きです。
いつかの斜に構えた感じとか、あすなの地味でまっすぐな感じとか、
志緒の派手だけど孤独な感じとか。
辻村さんって、人間が好きなんだろうなあ、と思ってしまう。


このお話を、ドラマ化したら面白そうです。秋か冬にやってほしい!
高校生が集まって、謎があって、目標がある。どんでん返しもある。
いじめもあって、地味な子も派手な子もでてくる。
彼らの集っている様を、映像で見てみたいです。

言い方が悪いですが、
伊坂幸太郎が、「学園、青春、ミステリー」を書くなら、こんな感じ!という感じでした。
伊坂幸太郎好きで、「他に読むものがわかない!」という若者におすすめです。

(全2巻) 辻村深月 タイムスリップ イジメ ぼくのメジャースプーン

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