書評・感想ブログ。
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ツバメ記念日 季節風*春 / 重松 清 (文藝春秋)
評価:
重松 清
文藝春秋
Amazonランキング: 175209位

春の匂いをかぐと、嬉しい反面少しだけ寂しくなります。
出会いの季節、別れの季節、と言いますが、どっちにしろ「何かが変わる」というのが切なくて寂しいのかもしれません。 
春がきた!桜が咲いた!という明るい気持ちで臨めないのが、わたしだけではなさそうなのを、この本で体感し、少し安心しています。

重松さんの本をどこか避けているのは、語り手が達観しているからだと思います。
「苦しんでいる現在」を語っているように見せかけて、実は「あの頃はよかったなあ」と振り返っている感じがして、一喜一憂している自分も本の中の人に見下ろされて、「若いってのは、いいよ」と語りかけられているようで、少し苦手だったんです。
しかも、泣かせるのがうまいし…。

でもなんだかたまに読みたくなるのが重松さんで、そして期待を裏切らないのが重松さんです。
12作の短編、すべてが全く違う人生を語っていて、それなのに、どれもこれもの感情に覚えがあって他人ではない。性別も年齢も境遇もちがうのに、どこかで一度は味わったような感情が描かれていて、ドキッとしてしまいます。

わたしが今回好きだなあと思った作品は、「めぐりびな」「拝復、ポンカンにて」「せいくらべ」「ツバメ記念日」かなあ。読み終えてから目次を見直すと、さらりと読んだ割に、記憶に残っていて驚きます。
「せいくらべ」のお姉ちゃんと「ツバメ記念日」のお母さんの、「わたしががんばらないと」という、春特有の切羽詰った感じを思い出して、ひとりで胸が苦しくなりました。

わたしの住んでいる地域はまだ桜が咲いていないので、「春」ということをいまだ実感していません。ですが、花が咲く頃には今年もきっと「よし、1年頑張ろう!」と思って自分を鼓舞しながら自分の首を絞めて空回りして、「だから春って苦手だなー」と思っている間に、今年も夏になってしまうんだろうなあ。
はやいなあ、1年って。

(326p)
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