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評価:
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岩波書店
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恥ずかしい話、今回、この本を読むまで、
「アラビアン・ナイト」というお話があるものだと思い込んでいました。
アラビアンナイトが、お話の集まりであるとは思いもしませんでした……。
どおりで、「アラビアンナイト」で検索すると「千一夜物語」がでてくるわけだ。
ということを、本書の前書き部分で知り、また捕虜となった王妃が死刑を逃れるために、面白いお話を創作して、延命していたということも知り、「千一夜物語を全編読んで見たい!」と野望を新に胸に抱きました。
本当は264編しかないらしいが。
命乞いのために、延命のために、シンドバッドの冒険やアラジンと魔法のランプの、困難な場面や愉快な場面、気の抜けるシーンなどを一生懸命考えていたのかと思うと、切なくなります。
264話も、寝物語として捧げた王妃。
「この面白い話の続きはわたしの頭の中だ!」とは、20世紀少年の角田氏の名セリフでありましたが、古くから、面白い話を紡げる人というのは重宝されたんですね。
上巻では、「シンドバッドの冒険」と「アラジンと魔法のランプ」など10話が収録されています。
アラジンといえば、ディズニー映画でお馴染みだったのですが、
待てど暮らせど、アブーも魔法のじゅうたんもでてこなくって、「ああ、これがディズニーの魔法だったのか」と、ディズニー映画と原作の差を身をもって体験しました。
願い事の数も規制されていないことに驚きました。やりたい放題になってしまいます。
しかし、この時代の国々の姫や王子は、姿など見なくとも簡単に恋に落ち、身を滅ぼしています。
話に聞いただけのジャウワーラ姫に、なぜそんなに恋してしまったんの!?とベーデル王の肩を揺さぶって聞いてみたくなりました。
シンドバッドも、あんな危険な目に遭いながら、何でそう何回も何回も航海にでてしまうのかわからぬ…。
そんな、ちょっと目の離せない危ない人々が主人公だったから、話の続きが気になってしまうのかもしれません。
上巻(311p)