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きいろいゾウ / 西加奈子 (小学館)
妻の名前は、妻利愛子。
夫の名前は、武辜歩。
お互いのことを、ツマ、ムコさんと呼び合う。
田舎に住む若い夫婦のあたたかくて、すこし切ない恋愛小説。


「愛情」というものを、言葉で、うんと長い言葉で表現していいよ、といわれたら、
この小説を差し出そうと思います。

きいろいゾウと病院に入院している女のこの童話と、
草花や動物たちと会話をしながら毎日楽しく生活しているツマさんと、
そんなツマさんとの生活を日記に残しているムコさん、
そんな2人を温かく見守る近所の年寄りや子どもや動物たちのお話です。

縁側でツマさんとアレチさん(おじいさん)がだらりとビールを飲んでいる光景が浮かび、
そんなツマさんとアレチさんを温かく眺めるムコさんの笑顔が目に浮かぶ。
ツマさん、ムコさん、アレチさん、セイカさんの四人でむちゃくちゃなどんじゃらをして笑ったり、
カンユさん(犬)が、吠えながらご飯をねだりにやってくる物音まで聞こえる気がする。
わいわいと和やかな雰囲気がこちらにまで伝わってきて、にこにこしてしまう。

冬になって不穏な空気が見え隠れすると、こっちまでそわそわして、
「はやく春がこないかな」とやきもきしてしまって、
わたしは冬が好きなはずなのに、ツマさんにはやく夏を!と思っていました。
感情移入しすぎです。

中でもとくに大地くんのお手紙にはとても感動をしてしまい、ほろりと涙しました。
(今読んでも、胸がきゅっとなる。)
9歳の大地くんなりの愛情、洋子ちゃんの女らしい愛情、
近所の人々(くくりたくないくらい素敵な人々)の愛情、
動物たち(これもくくりたくないほど個性豊かな)の愛情、
そして、ツマさんの愛情とムコさんの愛情。
恋愛小説というくくりだけれど、たったひとつの恋愛を描いているのではなくって、
もっと壮大で偉大な、愛情がつまりまくった恋愛小説です。

余談ですが、マンガ化をするのなら、羽海野チカさんのマンガで読んでみたい。
アレチさんなんか、とても素敵なお爺様になりそうだし、
カンユさんやメガデス(犬)たちは素敵なお犬様になりそうだし、
声が聞こえてきそうな小説が、さらに飛び出してきそうなマンガになりそう!です。

『わかる? だからぼくはこれから、たくさんはずかしいことをして、
       きちんと子どもをして、それから、大人になろうとおもいます。』

またゆっくりと読み返したい小説です。

(426p)

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