書評・感想ブログ。
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夜は短し歩けよ乙女 / 森見登美彦 (角川書店)

薄汚い青春の最中に立ちすくむ大学生が、じつは世界で一番清らかであるという真実はつねに無視される。


森見作品を読むようになってから、男子学生がかわいい存在に思えるようになった。
本書もくすぶる男子大学生が妄想と現実を行き来しながら、黒髪の乙女に恋するお話である。とにかく、この黒髪の乙女が魅力的な女性なのである。現実にいれば不思議ちゃんの部類なのだろうが、フィクションの世界では素敵なのである。
わたしが好きな乙女のシーンは文化祭でのワンシーンだ。鯉のぬいぐるみを担ぎ、像の尻を撫でる乙女。
この文化祭のお話はごたごたとしていてとても文化祭らしくて好きだ。韋駄天コタツにゲリラ演劇。憧れの大学生活といえば、佐々木倫子さんの漫画『動物のお医者さん』だったが、森見作品の大学生活もとてもいい。(休学していたり自棄になっていたりと苦しそうではあるが)
大学には何をしに通うのだろうな、と時々思う。すぐに「何のために」と考えてしまうのはよくないと思うのだけれど、考えてしまう。そして、自分の子供に何のために大学へ行って欲しいかなと考える。
本書を読んでひとつ答えが浮かんだ。どうでもいいことに一生懸命取り組む時間にしてほしい。バカみたいに何かに夢中になってほしい。社会人になれば、どうでもいいことを一生懸命する時間はない。たとえあったとしても空しさが募るはずだ。なので、本書の主人公は素敵だ。乙女のために、火鍋を食べたり、屋上から落ちたりする。大人になったらできないことの数々。いいなあ。今、学生である方々にはおおいに無駄な時間を楽しんでほしい。読書をしたり、映画をみたり、空想にふけったり、なんでもいいと思う。勉強するのもとてもいいと思うけど、学生時代って驚くほど勉強が楽しくないのは、なんでだろう。

この作品は、大学生の恋愛を描いたものなのだが、おおいにファンタジーである。読む人を選ぶのはそのためなのかもしれない。最終章では、町中が風邪の病に侵され、乙女がお見舞いに奔走する。渦巻く鯉、舞う乙女のラストシーンが素敵で、ぜひ映像で見てみたい。詭弁踊りも併せて見てみたい。

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ペンギン・ハイウェイ / 森見登美彦 (角川書店)
評価:
森見 登美彦
角川書店(角川グループパブリッシング)

これが自分を観察するということであろうか。


観察と研究と考察を繰り返す、抜きん出た小4男子アオヤマ君。彼の町に現れたペンギンの大群。どうやらそれに関与しているらしい歯科医院のお姉さん。アオヤマ君はお姉さんの研究をすることになる。

アオヤマ君は気難しい子なのかと思いきや、「おっぱいのことを考えれば怒りはおさまるよ」とぬけぬけと言う子供である。自分の世界をきちんと持っており、ペースを乱さない。いじめられても、淡々と研究を続ける。共感できるようなできないような不思議少年のアオヤマ君。彼の語りで物語は進む。
彼は賢いけれど、子供であるが故に、彼の中でお姉さんがどのような存在であるのかがわからない。そこがいじらしくてかわいい。お姉さんが体調を悪くすれば一緒に元気を失い、お姉さんが何も食べられなくなったら、自分も同じような体験をして分かち合おうとする。
中盤から、ともに研究をする仲間が増え、夏休みに突入する。基地を構え、定点観測などをする。夏休みの自由研究が苦痛でならなかった身としては、自主的に本格的な実験をしている彼らが末恐ろしい。しかし、本当に興味があることだったら、これくらいの熱心さで実験をするのだろうな、子供は。
 

「でも、世界には解決しないほうがいい問題もある」


すべてに結論・回答をつけて生きてきたアオヤマ君もペンギンの研究は行き止まる。そこで父が彼にこの言葉を投げかける。生きていると解決しないほうがいい問題、時間が解決する問題等々さまざまなものが生じる。そのさじ加減を知るということが大人になるということなのかなあとぼんやりと思う。

この物語は「アオヤマ君の初恋の物語」といってしまえばそれだけである。
それだけであるが、恋というものを認識したことがない小学四年生の男子がそれを理解するには、これだけの不可解な要素が必要で、そしてすべて終わってから彼は言う。「父さん、ぼくはお姉さんがたいへん好きだったんだね」
なんでもかんでも恋愛に結びつけてしまう下世話な大人になってしまったものよ、と自分を哀れんだ。
気持ちと言葉が結び付かないというのは、もどかしいけれど素敵なことなのかもしれない。


2011年本屋大賞第3位
第31回日本SF大賞

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有頂天家族 / 森見登美彦 (幻冬舎)

楽しきことは良きことなり。


 長らく、森見登美彦さんの著作を読むことができなかった。「恋文の技術」を数年前に読んだきりだ。「この作家は面白い、面白いので読破しよう」と思っても、図書館で借りられない。誰も彼もが「夜は短し、歩けよ乙女」と言っている。書架に本が並ぶのを待つとしようではないか、と思って数年。
 「有頂天家族」はアニメ化していた。しかもわたしが好きな声優が演じている。
そして観始めて驚いたことに、このお話は狸と天狗と半人間のお話だったのですね。
結論からいうと、アニメをみておいてよかった。狸が達磨に化けたり、虎に化けたり、しまいには蛙の姿から戻れない狸など、想像力の貧困なわたしには理解に苦しむ。
 このアニメをみてから、「阿呆の血のしからしむるところ」「楽しきことは良きことなり」と全てを流すことが増えてしまったのだが、よい言葉である。オープニングの曲でも歌っていたが、つまらないなら楽しく変えてしまえばいいのだよな。うむ。
 

「食べちゃいたいくらい好きなのだもの」


 狸界の頂点に君臨した偉大なる狸を父に持つ4匹の子狸たちは長所が1つずつ、どうにも皆頼りない。中でも阿呆の三男・矢三郎の語りで物語は進む。長男も次男も四男もそれぞれにストーリーを持ち、母もなかなか個性的だ。母の決め台詞「くたばれ」がわたしは好きで、物語で子狸たちが「くたばれ」と言う度に、家族の結束力を感じて嬉しくなったものである。
 狸以外に、天狗や人間も出てくる。わたしのお気に入りは、狸鍋を好む美女の弁天様だ。弁天様の言葉がどれもこれも艶っぽくて素敵だった(アニメでも素敵だった)。「あなたが喧嘩を売ってくれたら、私喜んで買うのに」いつか言ってみたいものである。「食べちゃいたいくらい〜」というのも頻回登場する。矢三郎でなくともぐらりとしてしまう。
 わたしは「そこそこの日常」が好きである。小学生の頃から、遠足や運動会より、いつもどおりの机に座っている授業が好きだった。特筆すべきことがない1日が落ち着くのだ。悪いことがあるのはもちろん嫌だが、あまりにもいいことがあるととてつもなく不安になるのである。今でも、そこそこの毎日が平坦に続けばそれで充分であると思っている(そうもいかないのが現実なのであるが)。矢三郎が何も祈ることがない程度に幸せである、と結ぶのを読み、同じ考えの人が物語の中にでもいてくれてよかった、と思った。

 コミック化もしていたのですね。漫画だとどうやって表現するのか読んでみたい。

(2008年 本屋大賞 第3位)

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(楽天ブックス)有頂天家族
(コミック版)
有頂天家族 (1) (バーズコミックス)
(アニメ版)
有頂天家族公式読本
有頂天家族 オフィシャルガイドブック (Gakken Mook)
夜行観覧車 / 湊かなえ (双葉社)
図書館で湊かなえ作品を読もうとすると、どれもこれも予約多数本で困る。
……でも、購入するほど読みたいわけでもないしな。読後感も悪いし。という感じだ。
ハマって一気に読んでみたが、この作品で、ひとまず休憩のような気がする湊かなえ作品。


表紙が幻想的で綺麗な『夜行観覧車』。
ページを捲ってみたら、高級住宅地で起きた殺人事件!
しかも、加害者は妻、被害者は夫。残された3兄弟はどう立ち向かうか、という話を、
近所に住む、厄介な(癇癪持ちの娘を持つ家族や、子離れできないおばさんや……)人たちの目線で語られる。


暗いし、疲れる。というのが、率直な感想である。
なんで、書籍にして文字でこんな疲れる世界と触れたいのかわからないが、「他人の不幸は蜜の味」と言わんばかりに、気分の悪い泥沼合戦の世界に傍観者として触れたい時がある。


常日ごろ、夫と「よその夫婦はどんな会話をしているのだろうか」という話をしている。
うちは、もっぱら、AKB48の話かモバゲーの話である。小学校の教室と変わらない。
家と家が連なっているマンションに住んでいるものの、会話は聞こえないし、
隣の家がどんなサイクルでどんな風に生活をしているかも知らない。
実際、この作品のように殺人事件が起こっても「怖いわね」で済んでしまいそうな気さえする。
(犯人がすでに捕まっているのならなおさら、である。)


残された3兄弟は、自分の両親の間にどんなことがおこって、殺人事件に至ったかを知る。
知った上で、最終章の「事件の結末」を公表するのだが、現実の嫌な部分を見せ付けられて、物語は終了する。
人間って、怖い。


自分も含め、女ってみんなヒステリックなんだと思う。
身の丈に合わないことをしようとして、理想と現実のギャップに愕然として、全部それを他人(特に夫や嫁)になすりつけてみたり、逆ギレして、無茶な理論で武装したりする。
みんな、自分がカワイイので仕方ない。(婆さんになったって、自分はカワイイのだ。)
そして、女性作家は各々、多種多様なヒステリックな女性を描くのだが、湊かなえ作品の女性たちは淡々として世間体はいい淑女たちなのに、内面がものすごいドロドロで恐ろしいのだ。


(331p) 





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ぬるい毒 / 本谷有希子 (新潮社)
評価:
本谷 有希子
新潮社

第145回芥川賞候補作。


基本的に、本谷有希子の作品は好きだと思っていたけれど、
本作を読み終えたあと、もう当分この手の作品は読みたくないや、と思った。
読んでいる最中は、お話がどう展開するのか気になって読み進めていたが、終盤の東京へ行くくだりでは、「もうやめてあげてくれ」と苦しくなった。
タイトルを借りて表現するとすれば、もう、毒が回っていたんだろう。


まったく記憶にない同級生向伊からかかってきた電話に応対してしまった熊田。
以降、一年おきに連絡があり、少しずつ距離を縮めてゆく。


これ以上のあらすじをどう書けというのだろうか、と思うくらい、シンプルな話なのだ。
自分に自信がなく、虚勢をはって生きている女だけが理解できる物語なんだろうか。


東京で大学生をやっている向伊がわたしはなんだか恐ろしくて、
常にバカにされているような気がして、熊田が傷つくことがないかとドキドキしながらページを捲った。
熊田が傷つく=自分が傷つく ような感じがしたのだ。
いっそのこと、目の前で思い切り罵倒してくれた方が気が楽なのに、
わざと気を持たせるようなふりをして、心の中で思い切り嘲笑されているような、どこかで隠しカメラでとられていて、仲間たちで爆笑されているような、そんな心持ちで話を読んだ。
あの空気はいったい、なんなのだろう。


惨たらしい描写はなにひとつとしてないのに、もう二度と触れたくない世界。


今までの本谷有希子の作品の主人公の女たちは、もっとぶっ飛んでいて、
最後、ビール瓶で男どもの頭をぶん殴るとか、道路のど真ん中で絶叫するとか、
なんでもできるようた達観した女たちだったのに、
今回の熊田は、諦めてやる、従ってやる、という受身の女で、最後まで爽快感がなかった。
なんか向伊に服従させられた気がして悔しいなあ。


(133p)





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