書評・感想ブログ。
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求愛瞳孔反射 / 穂村 弘 (河出書房新社)
本当はちがうんだ日記」を読んでから、「穂村さん、本業(短歌の方)では、どんな仕事ぶりなのかしら」と気になっていた折、友人に借りました。

短歌は、国語の教科書でしか読んだことがなかったので、1冊の本にまとまるとどんな感じなのかな、と思っていたのですが、人の日記帳をこっそりと読んでいるような不思議な気持ちでした。
というのも、この本に収録された歌が、「恋(どっちかというと、狂おしいほどの)」を扱っているからかもしれません。
なんでも、穂村さんが失恋をした際に書き綴り、書き綴ったそばから、メーリングリストにして流し続け、心の傷を癒してきた言葉たち……なのです。
ちょっと病的だぞ!穂村弘!!
そんな狂気じみて切羽詰った感じがところどころに潜んでいて、ギョッとし、ドキッとする、純粋で凶暴な恋の歌です。

「マイ・エンジェル」がなんだか奇妙で好きで、
「ムーンライト」は、恋が狂気に変わってゆく瞬間のようで、とても好きです。
他にも、朗読するだけじゃ伝わらない、紙に書かれた文字だからこそ響く歌もあり、視覚的にも面白かったです。
わたしが知っている文字のはずなんだけど、どうも違う文字のように見えます。

こんな面白い言葉が詰まった、恋の悩みを書いた日記帳が落ちてたら面白いのになあ……。
恋って、どうも人をオカシクするみたいです。
そして、その恋からはどうやら色々なものが生まれるようです。


文庫版解説 吉野朔美

(141p)
百人の王様 わがまま王 / 原田 宗典 (岩波書店)
図書館で、表紙の素朴な絵に一目ぼれして借りてきた本です。
中をパラパラめくると、黒一色の絵に、ほんの少しの文だったので、
絵本感覚で、するすると楽しく読みきりました。
文章にふり仮名がふっていないので、大人向け絵本…なのかな?


村人百人、百人全員が王様!というどうしようもない村に、
ひとりの旅人が迷い込み、休む場所と食べ物を請います。
しかし、王様たちは頑として聞き入れません。
冷たくあしらわれる旅人は、ついに百人目の王様の下へたどり着き…?

わかりやすいお話で、不快感なく読みきれて、よかったです。
幸福な結果に終わった表題作の「百人の王様」よりも、
不幸な末路をたどった「わがまま王」の方が、わたしは好きです。
ただ、こういうひねくれた不幸な話の方がいいと思ってしまうと、
なんだかスレた大人なになったなあと嘆かわしくも思ってしまいます…。

この作家には、たぶん図書館でしか出会わなかっただろうなあと思うので、
やっぱり図書館通いはやめられないなあと思います。
図書館の「返却されたばかりの本」というコーナーがいちばん楽しい。
絶対、自力では見つけられないような本が埋まっています。

(135p)
寄りみちこみち / 華恵 (角川書店)
評価:
華恵
角川グループパブリッシング

今回は、日常エッセイではなくて、”町の風景とハナエ”です。
だから、時系列とかはめちゃくちゃなんですが、
東京の町並みと華恵ちゃんの素朴でいて独特の感性が楽しめます。
2,3ページ、写真がついているのも嬉しかったです。
なんか、写真がついている方が楽しめるじゃないですか。

中学3年生になるまで、ディズニーランドに行ったことがなかったハナエ。
Tシャツとジーパンのハナエ。
わたしは、そんな華恵ちゃんが好きです。
なんかうまく言えないけど、そんな彼女と友だちになりたいよ!!

今回のエッセイの中では、
「ひとりのときに出会うもの」
「巣鴨で会う」
「春の農場実習」がなんだか好きでした。

エッセイって、言ってしまえば、誰かの日記的なもので、
小説よりも「誰でも書けるじゃん」という感じがするのですが
(現に、ブログやサイトでいちばん書かれているのがエッセイだし。)
それでも、こうやって本に装丁されて、何人もの人に読まれるエッセイは数少ない。
そして、自分にあうエッセイって、なかなか見つからない。
他人だから。
嫌いじゃない考え方をしていて、生活のサイクルが嫌いじゃなくて、
書いている本人も嫌いじゃない。文体も嫌いじゃない。
という条件がいくつか重なって、はじめて「自分に合うエッセイ」になるわけです。

そう考えると、本1冊出会うにしても、一期一会だなあと思わずにはいられません。

(180p)
JUGEMテーマ:読書
 
とりつくしま / 東 直子 (筑摩書房)
「とりつくしま係」…死んでしまった人の魂をモノにとりつかせる係。
なにかにとりついた、魂と生きている人の無言の交流を描いた短編集です。


結局、「死んでしまった者」がなにかにとりつく、というお話なので、
どこか切なく、わびしく、楽しい読書!ではありませんでした。

わたしは、「青いの」が好きです。
死んでしまった子どもが、公園の「青いの」にとりつくお話です。
ジャングルジムを「青いの」としか言えないくらい、小さい子で、
なんだか、きゅんと胸がつままれる気持ちでしたが、
オチがほんわかしました。

この本を読んだ方は、
「自分だったら何にとりつくか」を考えてしまうと思います。
わたしも考えました。
一瞬、生きている家族や友人に会えて、少し経ったら消えるものが望ましい。
と具体的に考えてしまいました。
身近なものにとりつくと、「トリケラトプス」の女性みたいになりそうだし。
なにかなあ。花とかがいいなあ。

表紙の絵が、かわいい系かと思いきや、
よく見ると不思議な絵で面白かったです。
妖精なんだろうか。
この本、実は借りたのが2回目なんですが、
1回目は、表紙に釘付けになっている間に返却日でした。

(201p) 
本を読むわたし / 華恵 (筑摩書房)
子どもの頃によく読んだ本。
小学校の図書室でよく借りていた本。
なぜだか心のなかに残っている本。
タイトルを聞くと、友達の顔を思い出してしまう本……。

本は、読むだけのものではないんだ、とわたしは思っています。
思い出といっしょにずっと心に残っていく本もあります。
おじいちゃんに読んでもらった「ぶんぶくちゃがま」とか。
ひとりで留守番をするたびに読んでいた「モモちゃんとプー」とか。
本の背景にある自分だけの思い出があることは素敵だな、大切にしたいな、と
再確認できたのが、この「本を読むわたし」です。

華恵ちゃんの思い出の本たちが、絵本・児童書・一般書と顔を現します。
本の紹介がされている本ではなくて、
思い出と一緒にある本のお話。

おじいちゃんとの思い出を綴った重松清さんの「卒業」のお話がとても好きです。
山下くんとの思い出の山本文緒さんの「ココナッツ」も好き。
塾の友達とお父さんの重松清さんの「小さき者へ」も好き。
……選べない。
恥ずかしかったことを恥ずかしい、と正直に書け、
怒ったことをきちんと怒った、と書け、
涙が出そうだった、と素直に書ける華恵ちゃんがなんだか清々しくて好きです。

こんなにたくさんの本といっしょに生きてきた華恵ちゃんが、羨ましくもなった本でした。

(219p)

この本を読んだらこの本もおすすめ!
三四郎はそれから門を出た」 (三浦しをん)
 本が好きだ!と豪語する三浦しをんさんの本に関するエッセイを集めた本の本。

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