書評・感想ブログ。
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悪の教典 / 貴志祐介 (文藝春秋)

(ネタバレします)




またバトロワの流れで読んでみた。 
旦那が横で冷ややかな目で「そういうグロい本読んで楽しいの?」と聞いてくる。
楽しくはない。
スプラッタは苦手だし、ドラマの手術シーンも見られないくらいに血が苦手だ。だから、「悪の教典」だって映画では見たくない。
でも小説だと話は変わってくる。猟奇というキーワードで本を探したことがあるくらいなのだ。
この差はなんなのか。たまに自分が怖い。


校内で人気の爽やかイケメン教師ハスミン。
生徒指導部の教員で、面倒ごとにどんどん頭を突っ込み、爽やかな笑顔と明晰な頭脳で問題をさっさと解決してゆく。自宅にやって来るカラスに悩み、近所の犬にハンバーグをやることも忘れない。
そんなハスミンの仮面をめくると、とんでもない姿が露になる。


上巻、序盤の爽やかハスミンの熱血教師物語がくどくて、「いつどんな殺し合いになるっていうんだよーーー!」と疲れ果てたのだが、(だって本当に胡散臭い男なのだ!!!)
カラスを駆逐してから、話の展開ががらっと変わり、爽やかなハスミンは、ただの殺人鬼に成り下がっていた。
自分の前に立つ者はすべて抹消するというハスミンの清々しさにはいっそ共感を覚えるほどだ。
デスノートの夜神月に似たような発言をしていて、放っておけない。
物語は、クライマックスの文化祭準備の夜へと移行し、読者であるわたしは置いてけぼりになった。

愛人である生徒を自殺にみせかけて殺すことに失敗→それを生徒に見られ殺害。
さて、彼女の死体の隠し場所に困った!じゃあ、全員殺すか!!


……ってなるか!!!!


わたしだったら、適当な言い訳つけて、殺してもせいぜい男子生徒一人だな。あれだけ頭回転するなら、「よし!皆殺し!」みたいなノリにはならないだろ!
と、突っ込まざるを得ないテンションだったんだが、狂気のハスミンはなかなか恐ろしく、「これは本当に全員殺してしまうじゃないか……」という展開で息を呑む。
一部の生徒が生き残るのも分かったし、方法もなんとなく察しがついてしまい、気が気でなかった。
作者は貴志祐介なんだから、相当心苦しい展開及び読後感にもってくるはずだ……どうなる?という嫌な深読み。
警察に無事つかまったハスミンは、精神異常だったという判定で弁護士がつくことに。

うわあ、すごいやりきれない。

でも、本当に賢いサイコな殺人鬼はきっとこうやって掻い潜るんだろうなとも思ってしまう。
やすやすと殺人を行ってしまえるのだから、精神異常なのはわかりきったことじゃないか……。


こんな読後感が爽やかなほどに嫌なお話が映画化されるらしい。
わたしもその前情報を知っており、勝手にハスミン役は城田優が演じるものだと思って読んでいた。
だって似合いそうじゃない。

カラス(フギンかムニンか忘れた)はきっと、ハスミンにこう言いたかったんだろう。
「誰かは必ず見ているよ。お前の悪行を」と。

しかし、読後感が悪いお話はやめられない!


(上・下巻)




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王様ゲーム / 金沢伸明 (双葉社)

(ネタバレします)




クラス全員に届いた王様ゲーム。王様の命令を守らなければ死ぬ___!


という帯をみて、「ついにきたか、バトロワ世代のオマージュ作品!」と食いついた。

だが、これは……。

リアル鬼ごっこ以来のがっかり感。
時間を忘れて読み進めたのでその点は面白かったのかもしれない。
それにしても、終盤のあっけなさはなんなのだろうか。何が物足りなかったのかを推察してみることにする。


・主人公とヒロイン
主人公は金沢伸明である。よくある手法だが、よって金沢くんは生き残っていて、この本(手記?)を残すことに成功している。主人公の語りで進む物語なので、彼のことは追々分かってゆくのだろう。
ヒロインは、金沢くんの彼女(名前を忘れてしまい申し訳ない。)
この彼女と金沢くんの関係が非常に希薄なのである。
「この子たちは、付き合ってるんだよね?」というくらい、ふたりの関係が「恋人」とか「彼女」という文字でしか語られず、具体的な心温まるエピソードがない。よって、感情移入しないまま、クライマックスへ到達してしまい、「で、なんだったの」みたいなオチになる。
(親友とセックスさせるくだりもあっけなく終わってしまった。綿密に描けばものすごくエグい展開なのにもったいない。)


・自殺が相次ぐ教室にいる教師
お前は、なにをやっているのか。
2日目の首吊り自殺2名の時点で、もっとなんかこう、物語を煽るような言動はできなかったのか!
もしくは見せしめに死ねばよかったのに!
この教師のこの素っ気無さが物語のリアリティを損なっている気がしてならない。
せっかく主人公が著者の金沢くんなのだから、もう少し、ノンフィクションに近づけるような発言を願いたいものだ。


・ばたばたと死んでゆくクラスメイト
そういう話なのでそれはそれでいいんだが、やはり死んでいく者もさっきまでは生きていた者なのでそれなりにドラマがあるはず。(著者の中では色々ドラマがあったのかもしれない。)
それを書いてくれないと、クラスメイトが死んでいく恐怖が味わえない。
中盤以降は「なぜ王様ゲームが始まったのかという理由は描かれるのか」というものすごいシビアな目線で読み続けてしまった。物語に申し訳ない。



展開重視で読んでいくならば、面白い作品かもしれない。
が、人物に感情移入して読もうとすればまったく面白くない。
わたしは、人物になりきって恐怖を味わいたくて読んだので、イマイチだった。
映画化するらしいが、そっちはもしかしたら面白いかもしれない。




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ヘヴン / 川上未映子 (講談社)
評価:
川上 未映子
講談社

図書館にある本は日本十進分類法で000〜999の数字で分類されているということを知っている人はあまり多くない。
多くのひとが本といえば「小説」を連想するのだが、小説は日本十進分類法のなかで「913」というひとつの数字でしか表されていないのだ。
(そのくせに、図書館のワンフロアを占拠しそうなほど数が多い。)
「日本の小説」といっても、ジャンルは多岐にわたる。
同じミステリー小説といっても、伊坂幸太郎と東野圭吾ではまったく違うように。
どこまでつきつめていけば、細部にわたって分類できるのかを考えてみたが億劫になった。
(ちなみに今のところでは、賞の受賞作で分類してゆくのがいちばん体系的に読める方法だと思っている。)


さて、川上未映子の「ヘヴン」をようやく読み終えた。
なぜ、あんな面倒くさい前置きを書いたのかといえば、この本の捉え方が、読む個人によってまったく違って面白かったのだ。
「いじめの小説」と思っていて不満感を露にする人もいれば、「哲学書」として読んで討論を交わす人もいる。
「僕」の成長を描いたお話だと思っている人もいたし、僕とコジマの触れ合いにのみ特化して読んだ人もいた。
なににせよ、多くの人がいろいろな読み方をして、あれこれネット上で主張しているこの本は面白いな、と思った。わたしはそういう本が好きだ。


わたしは哲学にまったく詳しくないので、この考え方はニーチェ寄りだとか色々分からないことが多かったが、いじめられる「僕」やコジマ、いじめに加担する百瀬、それぞれの主張が面白かった。
僕は斜視のせいでいじめられている、と信じ、
コジマはみずからの「しるし」を守るためにいじめられていると信じ、
そして、百瀬はふたりがいじめられているのは「たまたまだ」という。
いじめに関して言えば、確かに「たまたま」ということも否めないのが哀しい現実だ。
たまたま、いじめをできる人の目にとまってしまった、それだけのこと、と言えなくもない。
いじめに絶対的な理由はないと思う。
でも、それじゃあ僕もコジマも救われないので、考えないことにした。


コジマの主張もなかなか面白かった。
「みんなは、いじめを受け入れてあげているわたしたちが怖いのだ」という主張。
わたしはこれに似た発言を女友だちから聞いたことがある。
わたしは、コジマが「僕」に声をかけたのは、コジマの母と同様に「「僕」がかわいそうだったから」と読み解いたのだが、そうであって欲しくないと願う。
「僕」がかわいそうだから。
最初から最後まで一貫して「僕」の視点で描かれた248ページの世界。
「僕」に愛着が沸いてしまったのだ。


川上未映子さんのインタビュー記事を新聞で読み、「斜視という設定をうまく生かせていなかった」と書かれていたが、
それでも最後の「僕」が斜視の手術を終え、眼帯を外した時の並木道の美しさの描写は素敵だった。
これまでの自分と決別し、スタートラインに立った「僕」の明るい未来を祈ったほどだ。
(白々しいいじめ解決へ向かわなくてよかった。それを望む人も多かったみたいだが……。)


(248p)





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ふがいない僕は空を見た / 窪美澄 (新潮社)
第8回女による女のためのR-18文学賞、受賞作。

何度も言うが、女性が求める「エロ」と男性の求める「エロ」は違う。
その真髄をわかっている三浦しをんさんが第11回から選考委員になったようなので、
これからも期待大な文学賞です。

エロ小説とか性描写が読みたいわけではなく、
「好き」とか「通じ合う」とかそういう漫画的要素のある恋愛は少女漫画で飽食気味で、
結婚してから「恋人」というものに幻想をいだけなくなってしまった。
処女とか独身とか純愛とか、そういうものも心が痛くなって読むのが疲れる。
わたしは、もう、物語を楽しめないのか、と不倫文学しか楽しめないのか、と思っていた。

「ふがいない僕は空を見た」は、男子高校生とコスプレ主婦の不倫現場から始まる。
しょっぱなから濃い。
男子高校生斉藤の自宅は、助産院。毎夜、妊婦が陣痛に苦しむ。
妊婦の叫び声を聞きながら、コスプレ主婦の喘ぎ声を思い出す。

1冊を通して、
子どもを作るため、娯楽快楽のため、ストレス発散のため、、することは似たり寄ったりなセックスだけど、思いは多種多様。
そんなことをじっくり考えさせられた。
1話めの「ミクマリ」は、「コスプレをしてするセックス」と「そうでないセックス」で対比がされている。
2話め以降は、斉藤を取り巻く人物たちの「性」が描かれる。
妊娠できないコスプレ主婦、処女の松永、少年愛者と団地住まいの同級生、そして助産師の母。
すべてのお話が「R-18」というくくりになってしまうけれど、
そんなくくりになってしまったがために、読まれないのはひどく勿体無いと思う。

どのお話もすべての人にちょっとずつ共感ができて、苦しかった。
連作短編集は、勢いでガツガツ読んでしまうけれど、
この1冊は、どれもこれも、お話が重くって、1日1話が限界でした。
読み終わって、それぞれに想いを馳せてしまった。
良太が大学にいけますように……。

(232p) 
ニシノユキヒコの恋と冒険 / 川上 弘美 (新潮社)
評価:
川上 弘美
新潮社
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女の子は顔がかわいい子、綺麗な子、スタイルのいい子が基本的にモテますが、
男の子は「なんでこいつがモテるの?」というような人がモテたりします。
そういう男の子はたいてい「母性本能をくすぐるタイプ」というやつなんじゃないかなーと思うのですが、たぶん、同性である男性の方には理解し難いものだと思います。目に見えるものでもないので。

そして、このニシノユキヒコという男も、母性本能をくすぐる男なので、女の子がひっきりなしにニシノユキヒコの周囲にいます。いわゆるプレイボーイという人種。
そんなニシノユキヒコの生涯を、少しだけ人生に携わった女たちが回想する連作短編集です。

少年だろうが、青年だろうが、おっさんだろうが、変わらないニシノくん。
少年時代は少し大人びていて、老ければ「少年っぽい」ニシノくん。
女は目まぐるしく変わっていても、ニシノくんだけは揺らがず、変わっていない。
最終的に、ニシノユキヒコは、女たちが勝手に作り上げた都合のいいオトコなんじゃないかと思ってしまったくらい、実体がありそうでない、ニシノくん。
いちばん実体がありそう、というか、人間くさいのは、「草の中で」の少年西野だと思います。

女って、こんなプレイボーイというか、ふわふわしててやることだけはやるようなだらしない男が好きなのか?と考えてみたのですが、
「好き」というよりは、「関わってみたい」が正解に近い気がします。
だから、西野くんは、愛されないのではないかなー。

でも、こうして、関わった女の多くが、ふとした時に「いい思い出」として、自分のことを思い出してくれるということは、愛されていた証拠なんじゃないかなあとも思ったりしました。

(249p)