書評・感想ブログ。
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不思議の扉 時をかける恋 / (角川書店)
今まで、「雑多に本を読んでいる」と思っていましたが、
最近、「わたしは、SFが好きなんじゃないか」と気がつきました。
読書記録をつけ始めて、5年も経った今、ようやく気がついたのかよ!っていう話。

なので、手始めに、「読みやすそうな恋愛SFがたくさん詰まった本」を。
わたしは読解力が乏しいので、
SFのからくり(特に時間旅行系)を理解するのに時間がかかります。

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「Calling You」 乙一
再読です。読んだのは、高校生の頃。
「頭の中の携帯電話で知り合った男女が恋をする悲しい話」
という記憶しかなかったのですが……。(やっぱり読解できてなかった様子。)

1時間前の世界のわたしと、現実のわたし という感覚がやっぱり難しい。

「頭の中で作り上げた携帯電話」が鳴る。会話ができる。
っていう世界が、「やっぱり乙一って面白いこと考えるよなー」と思いました。
上から目線で申し訳ないです。(なんか長い付き合いな気がしちゃって。)
乙一は、白派と黒派に分かれると思うんですが、わたしは黒派です。

『きみにしか聞こえない』所収


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「エアハート嬢の到着」 恩田陸
なにげに初めて恩田陸さんの小説を読みました。
恩田陸さんのお話が好きなら、辻村深月さんも好きでしょう
という暗黙のリレーがあるようなんですが、逆行してしまった……。まあいいや。
面白いもんは、面白いです。

このお話は、連作短編の1部なので、まったく全貌が見えてきませんが、
少女エリザベスは、時間旅行の途中で、
何度も運命の恋人エドワードに会っている様子。

どんな仕掛けがしてあるのか、わくわくしてしまいます。
エドワードが時間旅行中なのかな??どっちなんだろう。
「次に読む本は「ライオンハート」に決まりだな、しめしめ」と思っています。

『ライオンハート』所収


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「美亜へ贈る真珠」 梶尾真治
「航時機」という、時間を圧縮してしまう機械に乗った恋人。
彼は、たくさんの「現在」の記憶を持って、未来まで、航時機に保管される。
そんな彼を毎日、見つめる彼女……。

なんか切なかったです。
航時機っていう、すごいタイムマシンなのかと思いきや、ただの展示物です。
機械の中は時間が圧縮されているので、タイムマシンですが、
いわば、冷凍保存されている状態……。
それを「展示」しているのです。
なんかちょっと悪趣味。

今の人間が作れるタイムマシンって、こういうのなんだろうなあ。

『梶尾真治短編傑作選 ロマンチック篇』所収


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「机の中のラブレター」 ジャック・フィニイ
タイトルの如く、机の中でラブレターをやり取りするお話です。
過去の人と文通をしたことはないですが、
学校にあった美術室とか理科室の机の中に手紙を入れておいて、
名前も知らない「同じ机を使う人」と手紙を交換するのに似ています。
あのワクワク感を思い出してきたー!

『ゲイルズバーグの春を愛す』所収

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「眠り姫」 貴子潤一郎
授業中の居眠りがクセの彼女のあだ名は、「眠り姫」。
しかし、「眠り姫」の眠りグセはだんだんひどくなる一方。
ついには何日も目覚めなくなってしまい…。

身近な「あるある」から、徐々に拡大していくSFの世界。
「授業中の居眠り」なんて身近すぎて、ちょっと怖いです。

「次、いつ目覚められるか分からない」という恐怖。
言われてみれば、「目覚めよう」と思っても、目覚められないですよね、睡眠って。
人間って、睡魔に対しては無力です。
眠いときも我慢できないし、起きることも出来ない。

『眠り姫』所収

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「浦島さん」 太宰治
昔話として、日本人なら暗唱できる「浦島太郎」です。
たしかに、時を越えているけど、浦島太郎と乙姫は「恋」してたっけ??
「浦島さん」の亀は、まったく愚鈍ではなく、
むしろ嫌味なほど口が達者でした。
その亀が、いちいち面白い深いことを言うので、面白かったです。

「言葉というものは、生きている事の不安から、芽ばえて来たものじゃないですかね。」

亀って、深いこと言うよなー。

『お伽草子』所収
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わたしは、マンガにしろ小説にしろドラマにしろ、
恋愛ものに触れるときは、「片想い」の部分が大好きです。
(なので、フラレ役の子とかが大好きです。)
片想いのもどかしい感じが好きなんですが、
それがふんだんに味わえるのが、「SF×恋」だということに、今回のアンソロジーで気がつきました。
会えても一瞬、だとか、会いたくても時間が違う、とか、そういうどうしようもない壁があると、「はぁぁ」と一緒にため息をつきたくなってしまいます。


大森 望 編

(286p) 
こどものころにみた夢 / (講談社)
評価:
角田 光代,島本 理生,石田 衣良
講談社
総勢12名の作家が「こどものころにみた夢」をテーマに小説や随筆を書いている本です。
装丁がかわいらしく、大人むけの絵本です。

ケーキ角田光代『男』(絵・網中いづる)
子どもの頃から時々みていた夢が続いている、と気がついた女の子のお話。
ちょっとぞくっとする不思議なお話でした。「夢」の不思議な感じです。

ケーキ石田衣良『ガラスの便器』(絵・松雄たいこ)
無数の便器の中から自分に見合った便器を探し当てる、というお話。
夢ならでは!のわけわからんお話で面白いです。

ケーキ島本理生『さよなら、猫』(絵・鯰江光二)
避妊手術を終えた猫と幼い頃、猫がいた生活を思い出すお話。
挿絵がとてもほんわかしていて、お話の雰囲気に合っていて素敵!

ケーキ阿川弘之『水の恵み』(絵・木内達朗)
子どもの頃の「中国一の広島」の川との思い出のお話。
家族との潮干狩りの思い出のシーンが好きでした。
この本がなければ出会えない作家さんです。

ケーキ辻村深月『タイムリミット』(絵・吉田尚令)
町のどこかで1時間公的な殺戮が行われる!というお話。
絵がかわいかったので、お話とのミスマッチ加減が不気味でした。
メフィスト賞の作家さんということで納得。(山田悠介風味でした)

ケーキ西加奈子『ヘビ』(絵・西加奈子)
死んでしまったばあちゃんの財布に入っているヘビのお話。
西加奈子さんの描く少年が大好きなようです。
きゅんとしてしまって、ばあちゃんのヘビと少年をいとおしく思ってしまいます。

ケーキ市川拓司『ふたり流れる』(絵・いとう瞳)
幼馴染の女の子の見舞いに行き、昔にみた夢について思い出すお話。
登場するふたりの距離感が絶妙で素敵でした。
市川拓司さん、初読みでした。

ケーキ堀江敏幸『ハントヘン』(絵・中村純司)
ハントヘンという村に伯父へ薬を届けるため、無人駅から出発をする少年のお話。
とても摩訶不思議!なお話で、気に入ってしまいました。
初読みですが、ふだんはどんなお話を書いている方なのか気になります。

ケーキ柴崎友香『雲の下の街』(絵・田雜芳一)
幼い頃に行った祖母の家。自分は何も覚えていないのに、
あゆみちゃんはわたしが忘れてしまったような些細なことも全て覚えている。
なぜか不思議な感覚になってしまうお話。
祥子とあゆみが見開きで描かれているページが好きです。

ケーキ長野まゆみ『衣がえ』(絵・望月通陽)
なくしてしまった服を借りた代わりに、バイトの代役をすることになった少年のお話。
巻き戻してもう1回読んでしまいました。摩訶不思議!
久しぶりに長野まゆみさんのお話を読みましたが、やっぱり好きです。

ケーキ穂村弘『おしっこを夢から出すな』(絵・ささめやゆき)
どうして大人になると、トイレの夢をみてもおしっこをもらさないのか。
あーほんとだそうだなあ、なんでだろうなあと考えていた矢先の穂村さんの失態!

ケーキ高橋源一郎『さらば、ゴヂラ』(絵・しりあがり寿)
ゴジラじゃない何か別の…ゴヂラが夢で大暴れをするお話。
しりあがり寿さんのイラストが思っていたのと違って驚きました。


たくさんの作家さんが一気に楽しめた上、お話だけじゃなくてイラストも楽しめる素敵な1冊でした。
アンソロジーって面白いですね^^
小説こちら葛飾区亀有公園前派出所 (集英社)
漫画・アニメで有名の「こち亀」を大沢在昌、石田衣良、今野敏、柴田よしき、京極夏彦、逢坂剛、東野圭吾という超豪華執筆陣が書く、豪華過ぎる二次創作小説集。
実は、この執筆陣の作品をよんだことがなく(豪華陣!と書いておきながら)各作家陣の有名キャラと融合されている、とのことでしたが知らずに読んでいました。
充分、楽しんだのですが!

文章になると、両津のはちゃめちゃ感がすっきりと正当化されていて(札束を見せていても文章だと嫌な感じがしないし)なんかちょっと人情味に溢れた、いい警官になってしまうので驚きました。

今野敏先生の「キング・タイガー」が好きでした。
定年退職したおじさんが、両津作のプラモデルを見、触発されてマジでプラモデルを作り始める、というお話。
両津といい感じに絡んでいて、それでいておっさん青春物語で、少し切なくてほっこりするお話で2度読みたく思いました。

漫画どおりのはちゃめちゃ感!という点では、東野圭吾先生の「目指せ乱歩賞!」。
賞金に目がくらんだ両津があの手この手で職権乱用し、乱歩賞を手に入れようとするお話。
中川の困り具合や両津の無茶苦茶な感じがそのもので、笑ってしまいます。

これを機に、推理小説も手にしてみたいなと思いました。
夜眠れなくなりそ。

(266p)
卒業。 (ピュアフル文庫)
梨屋 アリエ,大島 真寿美,草野 たき,藤堂 絆,豊島 ミホ,前川 麻子,若竹 七海
ジャイブ
「卒業」をテーマに集められたアンソロジーです。

勝手に「卒業」を設定することはできるけど、もう「卒業式」という節目はないんだな、と気付きました。たくさんの卒業がこの1冊に収録されています。

豊島ミホさんの「パルパルと青い実の話」を読みたくて手にしたのですが、
やっぱり豊島ミホさんの描く切なさに弱いです。
同級生のパルパルに毎日秘密でお弁当を作ることに、なにかトクベツさを見出す地味女子野々村。
野々村の歩く通学路が田舎道でわたしは好きです。
豊島ミホさんの描く町並みが大抵、わたし好みの田舎です。

大島真寿美さんの「卒業証書」も地味女子っぷりがよかったです。
わたしは地味女子が好きらしい。

(226p)

【収録作品】
豊島ミホ「パルパルと青い実の話」
大島真寿美「卒業証書」
梨屋アリエ「春の電車」
草野たき「神様の祝福」
藤堂絆「君と手をつなぐ」
前川麻子「彼女を思い出す」
若竹七海「たぶん、天使は負けない」